これからの災害ボランティアへの課題

本日現在まだ進行形の7月豪雨被害に遭われた皆様のお見舞いを申し上げます。また、救助・救援活動の皆様に敬意を表します。

このサイトも更新に1年間も経ってしまったことを反省しています。
この間、東日本大震災から8年。様々な展開や災害ボランティアの成長もありましたが、同時に全ての市民活動やボランティア活動でも共通の悩みが表面化もしてきているような気がします。

本来はこの間の活動総括をし、その課題を中立・客観的に出したいところですが、このサイト運営も継続する人材不足からそれどころではないというのが本音です。その大きな課題こそ少子高齢化だと思います。

この間に、災害ボランティアが「災害×IT」といったことから以前とはかなり進歩し、IT活用やプロボノといった専門家的なボランティア参加が増え、政治が遅れている分、ICSなども民間やボランティアレベルで普及、理解が促進してきたように思えます。
「継続は力なり」は長い伝統のある「災害救援ボランティア推進委員会」始め「市民キャビネット災害支援部会」なども活動は引き継げられ、一方で新しい若者たちによる「協働型災害訓練」の一般社団法人化や防災教育普及協会も含めて東大の防災研究所などの協力で法人化や継続性、持続可能性を持ち始めていると評価できるのではないでしょうか。

埼玉県でも県議会でも取り上げていただいた県登録の災害ボランティアの活用が全くされていない状況がようやく動き始めて、「彩の国会議・埼玉県災害ボランティア団体対話の場」のキックオフとして再登場となっているようです。

アメリカ型の国主導での統一されたFEMAのような組織やCERTのようなプログラムが望めない以上、本来はどこかきちんと組織化され財政基盤もしっかりとしたネットワークの要になるような公益法人がその代わりになればと期待してきましたが、まだまだ学生を組織化したり、新たな人財育成や3.11以降たくさんできてきた団体、組織を網羅できる連絡組織は登場しそうにありません。
しかし、昨日、今日の日本列島を縦断する集中豪雨災害を見ても、いくつもの反省や課題を早急に議論する場が必要である現状は変わりないでしょう。

特に、前回の教訓を生かしての気象庁や各自治体の今年の九州豪雨災害対応を見ると、大規模地震でなくても必要な課題は大いに見えてきていると思います。
例えば、以前から比べれば「自分の命は自分で守る」啓発やレベルでわかりやすい自主避難行動の推進、早めの広報などは進化してきていますが、市や県単位での広域の「避難勧告」に対して実際に避難行動に結びつかない原因などの検討や調査はこれからです。
内閣府のガイドラインが今回も抽象的で、以前の「地域防災計画」から「地区防災計画」へ実際には落とし込みがなされていないことは、今回のレベルでの市民の動きに反映されていないことでもわかるでしょう。各自治体に丸投げでは、わかっているはずの地域にですら避難計画や行動は具体化しません。
何万人に避難勧告が出されても、現実面で具体的な地域での避難行動ができないのが現状です。避難所の収容人数から考えても本当に避難行動を全住民が取れる保証はないのです。「どこへ逃げればいいの?」という不信感さえ募ります。
その課題は、地域での消防団などの既存組織と連携しての「災害ボランティア」が日常的に細かな避難経路や避難場所の確認といった、行政との「協働型避難訓練」の重要性が露呈されていました。こうした現状を踏まえて、再度、災害ボランティアの養成やネットワーク化の必要性の認識を共有したいと思いました。

大規模地震対策だけでなく、小さなコミュニティと共に寄り添えながら、全国的規模でのネットワークができる災害ボランティアの確立が、オリンピックでの運営ボランティア規模で行われることが急務だと思いますが、皆様はいかがお考えでしょうか?

人材難で消えそうな、このサイトですが、改めて「災害大国」日本の、災害の多様性、避難の多様性、地域の多様性をカバーできる人材養成やコミュニティの再形成という、ある意味政治を巻き込んだ、国民の安全、安心をどう「災害ボランティア」を活用した国づくりができるか、最後に問題提起できればと思います。それは国がやるべきことと、各自治体やコミュニティが具体的にやることの明確化です。

今日7月4日は、アメリカ合衆国独立記念日です。あの自由を大事にする米国では避難命令は強制であり、州外への避難の大移動や災害から身を護るやり方は現実に功を奏しています。それはかなり具体的詳細にシステム化され、マネジメントされているからです。防災の重要なことはまさにこうした「神は細部に宿る」具体的、個々の行動の結果だと思えます。

今回の教訓は、地震でない豪雨避難に、河川近くの避難所や渡河しての移動など、住民の具体的な生活、危険を省みない「避難計画」が多いということです。地域を知らない行政の一方的な立案としか思えません。その意味で、民主主義の基本であるような地域づくりに求められる知識やスキルをもう一度考えたいものです。災害ボランティアの問題は、災害に強い地域社会づくりの課題そのものなのだと考えます。(Y)

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