大阪北部地震について

大都市大阪北部を襲った直下地震

2018年(平成30年)6月18日7時58分頃、関西の大阪府北部を震源として地震が発生しました。地震模はMj 6.1で、震源の深さは13 km(ともに暫定値)。最大震度6弱を大阪府大阪市北区・高槻市・枚方市・茨木市・箕面市の5市区で観測したと言われています。
詳しくは気象庁、防災研究所などのサイトをご覧いただくとして、この特徴と災害・防災ボランティアの視点からレポートしたいと思います。

この地震の名称はまだ確定していないようで「大阪北部を震源とする地震」と呼ばれているようですが、以前、東大の平田先生がおっしゃっていたように「地震」が自然現象であるにに対して「震災」と命名するかは社会現象であるということから、想定された被害が大規模な震災という評価でなく、今のところ「大阪北部地震」という意味でもあるのでしょうか?
ここでは私たちもひとまずそれに従ってそう呼ぶことにします。
私たちの想定してきた大都市での直下型地震での「震度6弱」というイメージよりは確かに予想よりは被害は少なかったイメージで、もちろん、これを不幸中の幸いとは言えず、お亡くなりになった方、ケガや家屋を失った方にはお見舞い申し上げますとともに、全力で支援していかなければならないことは間違いありません。
  同時に、今後の災害対応に必要な、どんな被害や事象があったかを分析しつつ、被害が少なかったとしても課題を見つける重要性を再認識したいと思います。

大阪北部地震は、専門家に言わせると、マグニチュードにすると6.1(気象庁発表、6月18日17時現在)。たとえば熊本地震(2016年、M7.3)や兵庫県南部地震(1995年、M7.3)にくらべると、地震の規模としては60分の1ほどで、それほど大きい地震ではありませんでした。
東日本大震災のような大規模なエネルギーに比較するとまだまだ被害を大きくする大地震ではないと言えるのかもしれません。死者4名、負傷者400人強、被災家屋2万棟ほどの被害と言われています。

 そして、これは以前から指摘されている危険度の高い問題に対する無策であったことから受けたものであるということが言えないでしょうか?
まず第一に被災家屋の多くはベッドタウンの古い木造家屋が密集する地域で、大都会の防災対策の遅れは、大阪に限らず東京でもまだまだ改善されていないのが実情でしょう。
さらに、「大阪は地震が少ない」というイメージがあって、そうした耐震基準での指導や再検討が遅れていたり、高齢・障碍者など、いわゆる災害弱者への対策も遅れ気味だったということが指摘されています。
歴史を見れば大河ドラマにも度々登場する大地震が大阪を襲ったことはわかるはずですし、この7年間でも多くの自主防災関連から地域の見直しがもっとスピーディに行われてしかるべきだったと思われます。大都市における防災対策の課題をもっと掘り下げる必要性を感じました。

ブロック塀の問題点

第二に、今回の死者が以前から危険視されてきたブロック塀と家具の転倒によるもので、大規模な建物や家屋倒壊が少なかっただけに、身近な防災「地域づくり」に大きく問題を投げかけているように思えます。
まずはどこの地域へ行ってもブロック塀の危険性は指摘され、地域防災アドバイザーなどの講演の都度でも指摘されてきましたが、全国的に一向に改善された気配が少ないことです。
特に今回のように学校などのプールの土台に、防犯上不審者が入り込めない、あるいは水着の生徒への配慮から「目隠し」優先でブロック塀を設置してきたと言えないでしょうか。景観条例、生垣条例などで努力している市町村もありながら、まだまだ現場の意識改革が遅れているとしか言いようがありません。
今回のブロック塀の下敷きになり、犠牲になった少女は、まさに地域の防災意識や訓練につながる、備えの核心に迫る象徴であるような気がします。それは今日からでも自分の町会や地域で実現できる防災対策そのものです。
今回、同じように「要援護者」情報が民生委員にも渡されていない自治体や具体的な訪問や調査すら行われていない地域も指摘されましたが、これも「わかっちいるけど」やっていないという「平和ボケ」ともいえる現状です。
いつ来てもおかしくない災害国にあって、この危機感の希薄さは何が原因なのでしょうか。多くの地域で「自主防災組織」が作られ、防災講演会や勉強会も開かれていますが、現実には何も変わらない、動いていない地域が多いと考えざるをえません。まずは地域社会の中での問題提起の重要性を改めて訴えたいと思います。
お偉いさんや遠方からのアドバイザーの講演会に動員されて、やれ「いいお話でした」で帰宅していては、ブロック塀の撤去同様、危機管理能力のなさを露呈している笑い話になっています。まずは各地域の形式的な自主防災でなく、地域を変えていく取り組みの必要性を共有したいと思います。

広域対応とインフラの課題

今回の地震では、私たちのような「広域対応災害ボランティア」の出番はそう多くはありませんでした。全国の救助犬団体も待機で、事実上、捜索が必要な現場もなく、救助や救援、医療関係も動く間もなく国や行政の対応が十分だったといえるのではないでしょうか。

また、復旧支援においても大きな被災地や避難所というよりは、近隣の住民同士や行政、社協主導での細かな対応が求められる、目に見えない、外からは問題なく見える個別の家庭内災害復旧といった現象が特徴的だったような気がします。
それゆえ、余計に上記で指摘されるような「地域」での情報や対応の課題がより鮮明に見えても来ました。多くの外部からのボランティアは、行政や社協の情報、指示のなさからほとんどのマッチングも行われず、待機の状況で帰還せざるを得ませんでしたし、組織立って支援する状況より、近隣の内部ボランティア、自主防災組織の活動や個人参加にポイントがありました。まだまだ行政や社協に課題があり、協働型訓練の重要性があると思えます。

むしろ、今回の大規模対応は、大都市ゆえの巨大交通網、ガス水道、電気といったインフラ系の課題が浮き彫りになりました。高度経済成長時代に作られた生活インフラのリニューアル時期に入っているガス管、水道管など「都市地下」の見直しや、その支援ネットワーク強化など事業者を交えた対策が求められます。
また、IT系の弱点は、物理的な脱線や建物破損などの原因というより、電車を中心とする交通インフラによる大都市ゆえの混乱が挙げられますが、かえってITの再強化による、これも震度6以上は中心部への流入を防ぎ自宅待機を優先するといった、ルール化、働き方改革で、各地域や個人の行動を災害対応にしていく意識改革にカギがあるように感じました。

結論的に、日本版FEMA(危機管理庁)構想がなくなってから、ますます情報面での一元化や検証の組織化など、国や地域間連携の必要性を教えている気がします。同時に、広域的な大都市問題は、一方で小さな単位での地域や個人の対応を変えていくことにカギがあることを改めて教えてくれている「教訓」に満ちている地震だったと言えないでしょうか。まだまだ、多くの研究や議論が必要な課題にあふれている気がします。この教訓をどう生かしていくか、それを考えていくことも災害ボランティアに与えられている課題なのだと思います。(Y)

PS。都合でこのサイトを少しお休みにしていました。その間、せっかくいいご意見(コメント)を頂きながら承認するのを忘れていましたことをお詫びします。
今度、「協働型訓練」を一般社団法人化するという話が出ています。私の方は体調もあって引退するところで、このサイトも継続して引き継いでくれるボランティアを探しています。ご希望な方がいらっしゃいましたら、エントリーいただければと思います。

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続・協働型災害訓練について

はじめに

私たち市民キャビネット災害支援部会が「協働型災害訓練」をこの5年間続けてきたのは、7年前の東日本大震災での教訓や反省から、来る首都圏直下型あるいは南海トラフの大規模災害にどう備えるべきかを考えるからに他なりません。

特に地域での災害対策が基礎自治体を中心とする自主防災組織の、どちらかというと居住地域防衛や対応という視点に対して、想定される被害も広域で他地域をまたぐ、都や県境を超えての対応が迫られる大規模災害にどう対応できるか。だから地域を超えた「連携」を想定した広域連携や共助体制をどう作れるかに問題意識がありました。

実際、東日本大震災時には、全国3,000に及ぶ各地のNPOやボランティア団体のネットワークがあったこと。埼玉県浦和大久保合同庁舎内に今の事務局であるNPO埼玉と共同事務所のNPOハウスがあり、施設が入れ替えのために大きな倉庫として使えて支援物資の集積地があったこと、が挙げられます。この施設には「災害ボランティア・地域コーディネータ養成研修」などの大会議室もあり、また、たまたま連合系や当時の政権与党だった民主党系市民団体との付き合い、緊急出動できる救助犬団体や災害航空NPOといったヘリコプターの団体など、各リソースと公助との連携も比較的スムーズであったともいえます。

ですから、こうした「教訓」を活かして、各地のNPOとの連携を再構築すること。NPOや災害ボランティアに限らず、行政、消防、警察、自衛隊などの「公助」との連携を進めるべく、また今後の政権与党に米国のFEMAのような災害ボランティア養成機関と連携マネジメント組織を要望してきました。今のところ残念ながら、日本版FEMAは作られないことになりましたが、民間、市民側だけでもICSの啓発活動で、「協働型大規模対応」ができる活動を自主的に進めてきました。

そのために年に1回、各組織が集まった「防災まつり」のような「協働型災害訓練」を開こうということになったのだと思います。
震災後、そうした思いは各地や各団体も同じようで、様々な「災害ボランティアネットワーク」を名乗る活動も広がっています。そして、NPOの栄枯盛衰でメンバーも入れ替わり、7年前を知らない仲間も増えてきています。私たちはこの間、災害マネジメントのシステム化としてICSを共有することに努めてきました。
しかし、今回、5回目を終えた段階で「防災まつり」としてのイベントではなく、「災害訓練」としての「質」も考えなければならないのではないかと考えます。
確かにまだまだICSが普及したとは思えません。COPのような新しい考え方や方法論も進化していく中で、小さなICS勉強会なども大切になってきていると思います。それでも今回の大いなる反省は「訓練」の運営があまり進化していないことにあります。要するに、時間の経過とともに、参加者の質の変化や時代の変化に応じた、新たな「協働型訓練」のモデルを検討すべき時期に来たのではないかと考えます。

そこで、そうした問題意識で、今回は協働型訓練のもうひとつの完成度を上げる必要のある「訓練」方法についてまとめてみようと思います。

「災害ボランティア」の現状

ここで自治体が作る「自主防災組織」と「災害ボランティア」の違いを定義しておきましょう。もちろん、それは重なりあい相互に補完するものですが、あくまでも自主防災組織は地域住民による住民を守るという地域の災害対応に主眼があり、DIGをするにしてもその市町村の被害状況イメージがメインテーマになります。
それに対して、当然、自分たちの生活圏や居住地が被災地の場合は、災害ボランティアも自主防災組織と同じで連携して「内部ボランティア」としての「自助」「共助」、そして外からの支援に対する「受援力」として活動しますが、災害ボランティアとしては、広域災害や遠方での災害対応も想定して「支援力」の向上にも努めている点が挙げられるでしょう。
ですから、災害ボランティアは広範囲の団体がネットワーク型で情報を共有し、連携して協働で災害対応にあたる体制作りを必要としているのです。そのためにこそ「協働型災害訓練」が重要であり、各団体、行政などの「公助」との連携、そのICSの共有などが不可欠だと考えているのです。

もうひとつ、首都圏での災害ボランティア・ネットワークの現状を考えてみましょう。災害救援ボランティア推進委員会の専務理事でもある天寺事務局長によると、首都圏で、神奈川県は災害ボランティアネットワークが各市町村にできていて、特に横浜や座間市が活発で、その市町村のグループが県での連携ができているそうです。
千葉県では、県社協が力があって、各市町村の社協に呼びかけて、社協中心の災害ボランティア連携のネットワークができているとのことでした。首都直下型のお膝元の東京は大き過ぎて具体的なネットワークはないに等しいのでしょう。
それに対して埼玉県の現状は、前回の第1回「災害ボランティア団体」の「彩の国会議」では、普段は福祉・介護やまちづくりなど多様に活動するNPOや団体が多く、災害ボランティアに特化した組織が少ないように感じたとのことでした。
とりあえず埼玉県は「千葉県型」を目指して県社協中心に進めようとしているのかもしれませんが、埼玉県社協が福祉系中心の活動業務が主な仕事で、特に力を入れて「災害対応」や「防災」に関心を持って部署や人材を配置しなければ有名無実で絵に描いた餅になりかねません。県内において災害ボランティア団体を特にどう組織化するかが、今後の重要なポイントになるのではないでしょうか。

 

災害訓練(図上訓練)の種類

さて、私たち「災害ボランティア」側のリソース、状況が多少わかったところで、今度は災害ボランティアにとって、また「協働型」とはどんな「訓練」が必要になるのか、考えてみましょう。
まず一般的に図上訓練はいくつかに分類されています。大きく分けると「条件付与型訓練」と「状況予測型訓練」に分類されるようですが、国や行政機関のように各セクションがきちんとしている部署や部門のチェックにいい「条件反射」的な訓練(条件を矢継ぎ早に出す」付与型)より、想定される「災害」のイメージ・トレーニングと、そこからそれぞれがどう「対応」するのかのロールプレイング方式の図上シュミレーションを必要とする災害ボランティア団体にとっては、付与される条件は少ない「状況予測型訓練」が適しているのでしょう。

特に災害対応は国や行政レベル以外では医療救護機関が優れていて、ICSに関しても今やバイブルともいえる基本ガイドブック※を出版しているのも公益社団法人日本医師会だということからもわかります。「訓練」においても阪神・淡路大震災、東日本大震災の教訓を生かし、災害医療は初動の応急医療を中心に限られたリソース(保有資源)の配分など適切で迅速な決断が重要ということから各機関ではいち早く体制強化や対応訓練に組織を挙げて取り組んでいるのだと思われます。そして、多くが「状況予測型訓練」を実施ているようです。
医療関係機関の多くは、事前に災害状況を十分に想定(イメージ)して、対応を検討し、図上訓練を重ねているようです。そこでは状況付与なし又は最小限にしての「状況シナリオ創出型図上訓練(イメージトレーニング方式の図上訓練)を行っています。つまり、本部要員の高度な意思決定能力(危機管理能力)が求められ、情報が不十分な中での状況予測能力が重要なことから、これらの能力向上のために、訓練参加者に対して必要最小限の状況データをを与えて、それを手掛かりに管内でどのような状況が発生・進展するかを予測させるとともに、それぞれがどのように意思決定と役割行動が求められるかを答えさせる訓練を目的としています。

また、同じく地方公共団体で実施されている図上訓練も、それに加えて「ロールプレイイング方式」を加えて、災害時に近い場面を想定して、訓練参加者が与えられた役割で、災害を模擬的に体験し、様々な方法で付与される災害状況を取集・分析・判断するとともに、対策方針を検討するなどの災害対処活動を行う訓練が最も普及しているようです。
これは対策本部を対象とした場合が多く、医療従事者や行政職員という標準化された構成員を想定しているため、本部要員のイメージや役割を重視できるからでしょう。この場合、進行管理者(コントローラー)はシナリオに基づき進行し、綿密なタイムスケジュールに従って実際に災害が発生した時の現場と酷似した体験のイメージ作りで訓練を仕掛けていきます。訓練参加者(プレイヤー)はシナリオを知らされず、実際の現場で起こしやすい失敗の発見や迅速で適正な対応が可能かなど実戦的な効果が得られると実証されています。
当然、それぞれ複合型でできるだけ図上訓練の限界を補い、それでも実際上の参集や本部、施設、部隊の立ち上げなど実働訓練も適宜合わせて補完していくことが求められています。

実際、訓練にはそれぞれ目的、対象者、状況付与の手段や方式などによっても、簡単なものから複雑なものまで多種多様なものがあります。訓練参加者の対象、情報伝達の手段・方法、訓練参加者の動き方だけでもそれぞれの企画によってのメリット、デメリットが考えられます。
特に「協働型訓練」が実在の組織での多数の関係機関や団体との連携の検証なのか、仮想の組織なのかによっては、企画準備に多大な時間と手間を要します。仮想の組織編成の場合は、具体的かつ現実的対応行動が検討しにくいなどのデメリットもでてくるでしょう。
訓練参加者の動きも、検討中心(Discussion-base)の場合は企画準備は楽ですが、臨場感や実行可能性の検証が十分とはなりません。また、対応中心(Operation-base)では臨場感もあり、災害時対応を模擬的に体験できますが、企画準備が大変なうえに、参加者の質が問題になります。

実際の訓練を効果的にバージョンアップさせるためには、当然、実戦に耐えうる能力の向上にありますが、イベントとしての「協働型訓練」の再考には、初心に帰って訓練に関する5W1Hを見直して、訓練目的から再検討する必要が出てくるのではないでしょうか。

 

知る・学ぶから訓練する意義

いくつかの訓練の種類を見てきて気が付くのは、私たちの訓練への参加団体や個人の変化です。最近の数回は「防災まつり」的なイベントとして1日目は、おおむね「知る」「学ぶ」時間となります。杉戸町、富岡町、川内村からの関係議員さんや行政職員など来賓が登壇しての挨拶などのセレモニーがあり、毎回、富岡と川内村の災害エスノグラフィーで原発事故での避難や避難所での暮らしや課題を「知る」時間もあり、午後は新しい災害に関する「知識」を学ぶことができます。
参加者は平日ということもあって行政関係者も多く、地域の自主防災組織の方や初めて参加する方でも講師の話を聞くなど座学中心でもあまり問題はありません。それでも今後益々、過去の体験・経験からの「教訓」だけでなく、恐らく想像を絶するプレート型の「南海トラフ」と断層型の「首都圏直下型」大震災のイメージトレーニングは不可欠となるでしょう。

しかし、2日目の「訓練」となると参加者の類型によっては課題が出てきます。特に5回目となると同じシナリオで全く意味のない集まりとなる可能性も出てきます。この間、何回となく「知る⇒学ぶ⇒伝える(行動する)」という流れが共有されてきたと思いますが、まさにこの最後の「行動」することこそ「訓練」と言えるでしょう。つまり、そこへ帰結しなければ訓練としては成功しないのです。2つの例をあげましょう。

ひとつは「正常性バイアス」と言われるものです。ある実験で80名の任意の市民を集めて映画館に観客とします。そこで突然「火災です。避難してください。」というアナウンスを流しますが、誰も動かないという実験です。その後、何度かアナウンスを流し、時間経過を観察すると数人が動き始め、ある程度の人数が避難行動に移り、最後まで逃げなかった方が2割近かったという結果が出ました。この間、親しい仲間には相談しながら、だれも「逃げましょう」と声を上げる者もいませんでした。
また、避難行動は、それぞれが近い避難口を使わず、最初の人たちが出ていった出口に殺到しました。まさに自分で「判断」したというより付和雷同した形です。そして、最後まで逃げなかった方たちの言い訳けは、「本当なら係の誘導があると思った」といった、一見冷静で論理的なようでいて他力本願的な主催者・施設や係側への依存が大きいことがわかりました。

もうひとつは、有名な浦和の小学校での事故です。運動中倒れた女児が保健室に運ばれました。ベッドの周りに5、6人の教師が見守りながら、誰もAEDがありながら取りにもいかず救命・救助行動も起こせず、救急車の到着を待っていたのです。残念ながら児童は死亡してしまいます。その後の言い訳で死ぬ直前の呼吸「※死戦期呼吸(しせんきこきゅう)とは、心停止直後の傷病者に見られる、しゃくりあげるよう な呼吸。現場や救急室では「ギャスピング」ということが多い。」を見て、誰かが息をしているからといったそうです。そこにいた先生方は、その言葉を信じ、そして「死線期呼吸」ということを知らなかったということです。
彼らはAEDの存在も使い方は知っていました。講習会も受けた方もいたそうですが、誰も動こうとはしませんでした。その結果は悲惨な結末です。救えた命だったといわれています。この事件を契機にこの言葉が知られるようになり、ともかくわからなければAEDに聞けという教訓となっています。

Morning briefing for search teams at Boulder Airport. Photo: Michael Rieger/FEMA

「実践・実戦」とはこういうことを言うのだと思いませんか。この時、現場に災害対応ができる市民リーダーがいたらどうしたでしょうか。私たちは情報社会に生きています。わからないことがあれば簡単にネットで検索できます。上記の「死線期呼吸」もネットの引用です。しかし、それをどんなことかもっと詳しく知らべ、医療関係者に聞いたり実例を「学ぶ」ことでそのことを理解し、実際の現場に遭遇した時に判断を間違えないように納得、習得しなければ、とっさの時にわかるかどうかわかりません。簡単に知ることができる知識が、本当に理解し体得していることとは限りません。「わかる」から「できる」までには落差があります。まさに「知った」だけの、知ったかぶりに過ぎない場合もあります。
だから他の人に「伝える」ことや自分で「行動」できるまでの「訓練」が大切になるのではないでしょうか。

 

寄せ集めの混成部隊の訓練

私が受けた訓練でこうした理解を深めた体験が、在日米軍消防本部のまだ現役だった日本人トップの熊丸氏の開いたCFRの救助訓練でした。「消防筋肉」の鎌田教官のトレーニングも非常に勉強になりました。そして、座学だけでなく、こうした体を使った「訓練」の重要性を認識しました。災害対応や避難訓練の重要性は、その訓練の中身や構成にあります。その時大事なのが参加者やメンバーの意識、質や関係性でもあります。

同じ知識や言葉を共有し、同年代や同業者、同じ職場や団体かといった参加する人間によって当然、訓練やトレーニング法は変化せざるを得ません。私たちは自衛隊員や医療従事者だけではないからです。それでも災害ボランティアとしての「経験+知識+使命」が共有できれば組織的な行動や連携は取れるかもしれません。あるいは会社などのBCP訓練なら効果があるかもしれません。しかし、最近の参加者を見るとボランティア初参加の方もいれば、一般市民や町内会の自主防災などの方も混合しています。まさに地域でのイベントや市民祭りで集まった人々並みに実に多種多様です。

そこで従来のように災害ボランティアやNPOといった、同じ釜の飯を食った感覚で、安易に同じように言葉を並べても恐らく理解していないことも多く、臨場感やスキルアップには必ずしも結びつかないのではないでしょうか。
悪くすればICSなどもわかった気になってしまうだけで、自分の団体や地域に戻って普及推進させるリーダーになってくれるとは限らないのではないかと不安になります。まして、普段、災害対応専門でないNPOやボランティア団体の方々が緊急時にどれだけ私たちが期待するリーダーになってくれるのでしょうか。従来のような経験や知識を共有する寄せ集め部隊の訓練よりもっと多様性を持った市民向けの訓練をイメージすることが求められてきているのではないでしょうか。

ちょっと脱線しますが、武道やスポーツの習得法で、例えば空手と少林寺拳法、合気道や護身術との違いを聞いたことがあります。空手は、入門すると砂に手を突っ込んで一から鍛える。何歳であっても手を鍛えて同じように固く強くし、まるで棒や武器のように鍛えて戦うのに対して、後者は10歳なら10歳、60歳なら60歳のあるがままの体力や肉体でいいから、相手の弱点や力を知り、そこを利用して戦うという違いがあるというのです。
その真否はわかりませんが、この話を聞いてヒントになりませんか。
つまり、市民ボランティアはまさに老若男女の混合部隊です。年齢や体力だけではありません。経験や知識面でも大きな差があるかもしれません。NPOということを初めて知った方もいるかもしれません。実際、今回、国の機関や行政でも事業者でもない、民間の市民ヘリコプターのNPOがあることを初めて知ったという参加者がいました。

しかし、元々市民社会はそうした人々から成り立っています。玉石混合は当たり前なのです。ですから全く架空のICS部隊を想像しながら空想する訓練では、その分、よく災害や自分たちのリソースを知り、学ぶ時間をとることができないならば、反対に訓練そのものを、そうした烏合の衆ともいえる、普通の市民を集めた形での訓練の在り方ややり方を開発することで、この訓練を受けたNPOや災害ボランティアが自分たちの組織や地域の訓練を企画したり、開催できる新たなリーダーづくりの研究を兼ねることができないでしょうか。

東日本大震災から7年、NPOの高齢化やメンバー交代は止められないのは間違いありません。ほとんどの災害ボランティア、自主防災組織の構成員は高齢者です。被災地での復興支援でも70歳台の方々がこの7年で現役を退くのを見てきました。私自身、すでにあの時の体力や行動ができない現実を感じています。
そこで今回のように、従来のNPOや経験者が少なくなる時期を考えて、再度、CFR(市民救助隊)訓練のような「実働体験型訓練」を中軸に据えての企画はどうでしょうか。
1日目はきちんとカリキュラムの「災害ボランティアとICS研修会」。2日目は連携確認のイメージトレーニングと熊丸隊長や鎌田教官などの指導の下にロールプレイング型の「市民救助隊養成訓練」を行うというアイデアです。

少し尻切れトンボですが、時間がないのでひとまず、今回の訓練での振り返りをもとに思いつくまま書いてきました。もし、第6回目のこのイベントがあるとすれば、この企画の準備を半年なり、1年かけて検討することがいいのではないかと提案して筆をおきます。(Y)

  

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協働型大規模災害訓練について

はじめに

川内村からの報告

2月2日・3日の二日間、杉戸町にて「第5回協働型災害訓練in杉戸」が開かれました。まずはこの事務局を引っ張ってきたNPO法人すぎとSOHOクラブ代表の小川さんが、この正月に急逝されたことに哀悼の意を表すとともに心からのご冥福をお祈りしたいと思います。彼とは20年近い友人でした。

さて、先週末の大雪に続き、2日は平日でおまけに前日夜からの雪で交通が混乱して参加者が少ないかと予想していたのですが、行政や関係者の参加が多かったのか、悪天候にめげず100名以上が出席しました。用意した資料が足りないところで、事務局メンバーなどには行き渡りませんでした。(途中出入りがあるので事務局発表の公式参加者は150人だったそうです)

反対に翌土曜日は、好天に恵まれながら、ボランティアだけになったためか想定より半数の70名程度になっていました。かなりの知り合いの団体が欠席で少し寂しいところですが、新人や新しい団体の参加もあり、それはそれでうれしいと同時にそれだけ災害ボランティアへのICSの浸透や深化には課題が残ることになったような気がします。

それでもソーシャルインパクトワークスの清原氏の「全国でこの規模でのこうした協働型訓練はいまだない」という高い評価に表されているように、多くの災害ボランティアが年に1度でも結集してのこうした訓練はまだどこにもないのは確かで、後藤先生がよくいう「防災まつり」という意味では大きな成果を上げていると思います。事務局、災害支援部会はじめ行政や炊き出しの双葉町、浪江町の避難の方など関係者のご努力とご協力に感謝したいと思います。

第5回目の訓練報告と反省

内容に関しての報告としては、訓練1日目は、今回は「福祉避難所」開設という話でトップバッターの<チェックイン・タイム>でHUG(避難所・運営・ゲーム)のオーダーで登場することになりましたが、このHUGは、2007年開発で、すでに10年以上の前のゲームで、短時間で矢継ぎ早の読み上げでパニックの臨場感を体感させるレベルでのゲームではもったいないので、このゲームを各地域で実施する際の注意点(振り返りの大切さ)などと、今日のテーマである「福祉避難所」に関しての実際的な災害トリアージと避難所トリアージ、要援護者トリアージに関して映像を交えて最近の研究結果を紹介しました。(配布した資料は『災害トリアージと避難所運営』災害救援ボランティアテキストⅢ

医療トリアージと対処法

こうした参加者がバラバラな訓練には本来きちんと練られた「オリエンテーション」が必要で、目的は、この訓練の目的や達成目標、時間プログラムと登場する講師などの紹介、全体の流れを明確に理解してもらうことにあります。そのためにどのような手段・方法で進行するか、また目的が達成されることで実際の災害対応にどのような効果があるかを丁寧な案内を説明する必要があります。会場の案内図、掲示板を決め、変更になったプログラムは壁に掲示するなどの工夫も大切でしょう。

私自身は、チェックイン・タイムで予想される、事務局は遅れた準備や来賓、遅刻する参加者対応でてんやわんやするという過去の経験から、私のミッションを勝手に自分のパワーポイントでオリエンテーションを行いました。それは以下の通りでした。

  • 1.災害イマジネーションを高めるー災害から学ぶ
  • 2.福祉避難所と災害トリアージの理解を進める
  • そのために「災害エスノグラフィー※」から学ぶ知恵、教訓を感じ取る
  • 従来のマニュアルやゲームのブラッシュアップ(支援と受援力向上へ)
  • より具体的な災害ボランティアが使えるチェックリスト(案)⇒初動対応力の向上
※災害エスノグラフィーとは、広く災害での被災者の声や救援担当者の話を聞くという、あるいは「語り部」として被災地で語り継ぐ方法で皆さんにもなじみがあると思いますが、そもそもは、異文化の理解を広める調査法でエスノグラフィー(ethnography)は、ギリシア語のethnos(民族)、graphein(記述)から来た英語で、「民族誌、民族誌学」と訳されています。民族学、文化人類学などで使われている中心的な研究手法で、フィールドワークによって行動観察をし、その記録を残すことです。今回は福島の原発事故から避難した川内村、富岡町の状況を聞くことになりました。
 要するに、1日目は「災害のイメージづくり」と「福祉避難所の理解」ということが目標でした。改正された災害対策基本法での避難所の在り方と支援物資の配布や「福祉避難所」という二次避難所への移送といった訓練に結び付けることが今回のミッションだったと思います。私自身も、県庁からの「埼玉県では全市町村に1か所以上の福祉避難所の指定が出ている」という報告は初めて知り、指定されながら実際に設置や運用の現状を各地での検証が大切だということを知ることができました。また、午後のそれぞれの分科会方式のワークショップも大変勉強になり、充実した時間となりました。残念なことは。アマチュア無線の可能性や実際の医療関係との連携方法、多言語プログラムの活用の実際など、もう少し事前知識と各担当者への時間配分に余裕を持てればというのが感想です。

2日目は、まさに過去4回にわたる「災害ボランティアの市民ICS」の完成へ向けての総決算を期待していました。ところが、ICS基礎講座ということでFEMA留学でのICSコースを履修、ICSの学位を取得してきた専門家である山上さんのICS作成ワークを期待していたのですが、この雪害で北海道から来られなくなったという話で残念でした。

浪江焼きそば

このICSのイントロダクションなしで、午後のテーマでもあるCOP導入と引き続き清原氏のそのICS応用としての「GISを活かしたCOP(状況認識の統一:Common Operational Picture)」の話に入り、初参加の方にはICSの基本理解がないままに進んでしまったのではないかと、もったいないという思いでした。
おまけに、急遽、東日本大災害当時、唯一岩手県災害対策本部に入ったDMATの岩手医科大学の秋富医師(現防衛医科大学)が登場。相変わらずの話し上手で会場の聴衆を魅了する講義で人気を集めたままあっという間に帰ってしまい、せめて参加者には岩手県災害対策本部での著作の紹介など、事前の告知などあればよかったと思います。残念が重なりました。

COPの説明をする清原氏

それでも秋富氏や清原氏の話で現在進んでいる国レベルでのプロジェクトの一端がわかり、従来の「想定⇒予定・計画⇒結果」というRisk Managimentから「想定外⇒予定・計画外⇒ICS⇒結果」という災害対応のマネジメント、情報網の整備のプランニングやオペレーションができ始めていることが理解できました。また、さすが秋富先生は国の高額なIT活用やシステムづくりだけでなく、現場の市民レベルでの「できる」「できない」状況に落とし込めるかが大切であることを伝えていきました。秋富さんはそれを「ドラえもん」のジャイアン方式と名付け、「誰が、いつまでに、なにを」という現場主義と指摘したように思います。

その意味で今回の「想定する状況・災害規模のイメージ」を清原氏や後藤先生が言うGIS活用でのCOP(Common Operation Picture)という「状況認識の共有」のポイントなのだと思います。清原氏はそれを「知る→学ぶ→伝える」という流れの重要性で表現していましたが、同時に情報は得るだけでは駄目で、待っているのではなく自ら「取りに行くもの」としての「何の情報をもらうか」というファンクショナル・アプローチといった重要な方法論を教えてくれました。
この辺は秋富さんの避難所での「声なき声」に対応する、例えば子供、女性に防犯ブザーを持たせるといった「行動」に落とし込める実例に共通しているのでしょう。まさに「情報は力」であり、行動原理に結実するのだと思いました。この辺はいつかもう少しわかりやすく説明する必要がありそうです。

支援物資運送部隊の訓練

後半は、ICS図上訓練ということでしたが、過去4回、私自身は実行部隊、後方支援部隊と体験してきて、昨年から年齢的に目が悪くなり、おまけに腰痛で災害支援部会では「戦力外通告」を受けていましたが、今回、人出不足から想定外の「本部」体験を初めてすることになりました。
ところが昨年は平日ということで、本部に行政、あるいはICSや現場経験者、NPO側のリーダーがいましたが、今回は部会長と私以外が初参加の方で、救助犬やヘリコプター部隊NPOのリソースや流れの理解もなく、図上訓練の意味の理解も不足していて、まったくリアリティのある訓練や他の部隊のオペレーションも把握できませんでした。

またせっかくCOPの重要性が言われながらシナリオも配置図も昨年のままで、昨年の振り返りや反省点の修正もスキルアップもなく、進歩もなかったのではないでしょうか。もっとも私は都合で中途退出でしたから、あまり偉そうなことは言えませんが、この大きな原因は、以前から指摘している通り、このイベント自体が全くICSを活用していなく、むしろ悪い例として1人に情報集中、メンバー間の共有や組織化がなされないままだったこと。COPや時間軸の理解が共有できず、初動の72時間の救助犬やヘリ部隊と並行して避難所が既に開設している想定のグループなど準備期間や事前協議などのイメージが混在してしまって、肝心の「情報・計画部隊」「参謀」といった情報リエゾン不在で、行政やその他の機関との「連携」が深化しなかったこと。

マッピング班

そして、想定する災害状況の報告がスクリーンに出されるような演出がないため、GIS活用とCOPへの理解も得られなかったことがあげられます。
わずかですが、マッピング班がドローンを使って国道4号線沿いの地図を作成、それがネットで共有できるという成果があります。この地図を会場のスクリーンに映し出し、4号線を都バスが200台杉戸方面に移動中といったシナリオ、情報が流されれば、臨場感はアップし、あと何時間で避難所開設しなければならないなど、訓練に有効だったと思います。少なくともICS上ではマッピング班という組織は位置づけていないので、情報計画か、ヘリ部隊の中に位置づけるかなど組織上のチーム運用をシステム化できればと思います。各部隊の機能は組織、運用をテコ入れする必要も感じました。

本部、関係者会議

過去にも指摘してきましたが、いつまでたっても本部の机上には杉戸町の地図が用意され、杉戸町の自主防災組織のDIGレベルから発展してのブリーフィングができない状況では、全県レベルの、あるいは東京都での被災状況をイメージするCOP体験やGIS活用は難しいのではないでしょうか。
そもそもICSは、現場に駆け付けた小グループから体験できるものであり、まずは各テーブルでのリーダーがICS100レベルの知識は事前学習として必須だと思います。一般市民と同様なメンバーとでは高度な指揮命令系統を構築するには無理があり過ぎると思いました。
まして本部要員はICSに習熟したプロボノを配置して全体のイメージを明確にした人的リソースがなければ、部隊全体が崩壊しかねません。各チームの人員配置をチェックイン方式のICSで、2015年版「災害NPO&ボランティアのICS入門」レベルは事前学習で相互理解が前提にならなければ、各部隊の機能や計画書を書くこともできなかったのではないでしょうか。

まずは計画情報部(Planning Section)メンバーだけでも泊り組で組織するとか、昼休みに計画立案してメンバー配置図を作るぐらいの実行力が欲しかったと思います。せめて、本部指揮所(ICP)の人選と会場に残っている現有勢力の員数合わせがなければ、人員の待機場所(SA)でのチェックイン、彼らの宿泊基地(IB)づくり、行政との調整リエゾンメンバーや班長会議など、東京から移動してくる避難民が到着する前の3日間に何をしなければならないかのシナリオづくりと、ICS Form202や203、204の書き方指導、そして、関東圏、最低でも東京都と埼玉県の地図上での時間軸の刻々と変化する災害状況や避難状況をマッピングして、各部隊にどうブリーフィングするかの「図上訓練」ができることが望ましいと思います。

 この協働型訓練を成功させるには、少なくとも数回の市民講座型でいいので、「災害ボランティア講座」や「ICS研修会」を受講してもらい、各単位取得者、修了者、少し熟練した方にはさらに情報リエゾン、リーダー研修といったプログラムを用意して、各修了証を発行するくらいに、FEMAまでいかなくともシステマチックに、プロセスを大事にする必要があるでしょう。
元々ICS自体がそういうプログラムでできているはずで、これも全体の企画担当、主催者側の勉強不足準備不足と言わざるを得ません。それらの集大成が「図上訓練」であって、日常的に自分の組織、グループ、小さなイベントでもきっちりICSを活用してPDCAサイクルで体得することが、今後の進化には欠かせないのではないでしょうか。
後藤先生の話ではありませんが、本家のアメリカでもICSが定着するまで30年近くかかったそうですから、二番煎じのスピード感を持っても10年かかるとしても、5回目までの棚卸や振り返りをきちんと行うことで、どう本物の「協働型大規模災害対応訓練」が完成するのか。引退前のロートルとしては、早めの普及や成功のための再構築を願ってやみません。

 蛇足ですが、災害ボランティアは熱き想いが強いせいもあって、実際には多種多様過ぎで唯我独尊、我流で会議や講演会のルールも無視する人もいます。おおむね記録やマニュアルは読まず、人の話も半分という基本的にはコントロールが難しいのが過去20年の全く独断と偏見の体験的感覚です。富岡町の郡山市庁長や秋富さんが指摘していたように、災害時にはボランティアか犯罪者化の見分けもつかない、統率が取れない人々も流入し、実際、盗難や性犯罪も起きているのが実体です。小さな信頼の積み重ねが一瞬にして崩壊することもあります。信頼の構築はきちんとした組織づくりにあります。言い換えればスキルがある信頼できるメンバーやチームが必要なのです。まさに「人材」です。
ビジネスマナーや知識を持って、謙虚にICSを学習する人間をいかに増やすか。これは民主主義を広めるのと同じように一筋縄ではいかない作業なのだと思います。そして、時間軸から「救援・救助」と「復旧」「復興」ボランティアとそれぞれの定義と役割を明確にした、それぞれの訓練の必要性もあるのではないでしょうか。
勝手な感想で叱られそうですが、避難所での「拍手会」や「称え合い」ではなく、この際、厳しい反省と完成度を求めて、引退する老兵の愚痴かもしれませんが、お耳をお貸しいただければ、マニュアルなども小冊子もそのうちまとめてPDF化したいと思いますので、ご活用ください。(Y)
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第5回協働型災害訓練 in 杉戸

今年も残すところあとわずかとなりました。東日本大震災から6年が過ぎ、来年の3月には7年目を迎えます。そして、その復旧・復興支援に当たってきたNPOや災害ボランティアたちが埼玉県杉戸町で始めたこの「協働型災害訓練」も今度の2月で5回目を迎えます。

協働型大規模災害訓練とは?

マスコミ的にはあまり目立ってはいませんでしたが、東日本大震災で活躍した市民キャビネット災害支援部会の3,000に及ぶメーリングリストのNPOやメンバーもこの5年でかなり数も減り、顔ぶれも変わってきていると思います。
実際に直後の被災地に入り、あるいは阪神大震災以来、様々な被災地で救援から復興までを支援してきた強者(つわもの)もいれば、今度の首都圏直下、南海トラフの危機感から新たにメンバーに加わった仲間やNPOもいます。かなり、プロもどきのボランティア(プロボノ)もいれば、個人の活動でなく、きちんと組織化、法人化されたNPOや団体も増えてきました。

同時に、ここ数年の教訓から、災害ボランティアの行動、活動の在り方が変化してきました。災害ボランティアが、全く個人的に予備知識もなく現地入りするリスクも広く理解されるようになり、ICSの重要性はまだ認識されていないとしても、ある程度のITも含めて必須スキルや基礎訓練の重要性と、組織化や団体間のネットワーク、連携の重要性も共通理解を得られるようになってきていると思います。

また、各基礎自治体、社会福祉協議会、県や国の機関もそうした市民のボランティアの有効活用の重要性を認識し、各「連携」「協働」「ネットワーク」を重視し始めてきました。
それでも現実的には、行政の災害対応部局、例えば「危機防災課」「危機管理課」といったセクションの担当者が災害ボランティア対応や市民活動担当経験があったりすることは珍しく、社協に災害対応専門の人材がいることも少ないのが実態です。その意味で「公助」の側に「災害ボランティア」の有効活用をまじめに考えているところはまだまだ少ないのが現状と思えます。

ここで「協働型大規模対応災害訓練」の呼びかけが行われてきた経緯や教訓、この5年に及ぶ試行錯誤を振り返り、今回、新たに埼玉県の登録・災害ボランティア制度再編からスタートしている「災害ボランティア団体の対話の場・彩の国会議」までのさらに広がりを見せてきた災害ボランティア活動の成果を共有することも大切かと思います。こうした機会を埼玉県を「災害対応ボランティアの先進モデル」にもの期待を込めて、その意味で少し長いのですが、まとめることができればと考え、筆をとりました。

まず、災害ボランティアを中心とした「災害対応」には、災害の規模、種類によって災害訓練は異なります。それは当然「自助」「共助」や公的な救助機関の出動、いわゆる「公助」もそれぞれ違いがあるでしょう。神戸・阪神大震災のように都市型地震災害、東日本大震災のように各県にまたがる広域災害、津波被害から最近多発している内陸部や山間部での災害など、活動団体や参加するボランティアも多種多様でした。そして、そこから得られる教訓も様々かもしれません。そこで重要なのが第一に「災害の規模」だと考えます。そして、第二にその「災害の時間軸」に合ったスケジュールやストーリーでしょう。

今回、私たちが想定している災害は、東京を中心とする「首都圏直下型大地震」、つまり、かなり「広範囲」で「大規模」であります。まずはその「発災」時からどのような状況が想像できるか。
そこを前提に、日本が首都圏に一極集中で発展してきた国であるが故の政治・経済的な混乱や20万人の自衛隊員を動員したとしても不足する救援・救助組織、「公助」の絶対的な戦力不足を、戦時の「民兵」組織のような「災害ボランティア」のネットワーク組織が必要ではないか、というところで、様々な「公助」と協働できるネットワークづくり、全国からの支援も含めて災害対応のNPOや市民ボランティアとの連携や協働を視野に入れた「協働型災害訓練」の重要性が指摘されました。

実際、神戸・阪神の場合は、私の個人的な感想でも阪神に暮らす兄夫婦家族の安否確認という「やむに已まれぬ私情」のような「個人的」ボランティア、あるいは近隣の住民による自発的ボランティア活動という自然発生的な「共助」活動が中心でした。実際、自助7割、共助2割、公助1割ともいわれ、遅れた、あてにならない「公助」を補完・補助する形で「ボランティア元年」と呼ばれ、のちにNPO法が成立するきっかけにもなりました。同時に、わずか30分から1時間の距離の大阪や東海地方に出ればどこに災害があったのかわからないほどの日常生活とのギャップも感じました。
それに対して東日本大震災では、首都圏でも震度6の被害があり、被災地が数県にわたる大規模災害であり、初動から「公助」は10万人の自衛隊の動員がスピーディでしたし、米軍や各県などとの連携もありました。災害ボランティアに関しても政府が呼びかけたように、個人でのバラバラな支援ではなく、できるだけ組織化された、自立して自給できる、「自給自立型・災害ボランティア団体」を求めました。
それでも行政や政府がコントロールすることが難しく、大量の個人ボランティアが現地入りし、相変わらず行政や支援機関の「ムリ・ムダ・ムラ」のある、時には犯罪まがいの事案があったことは他の項で述べているところでもあります。だからその後、情報共有の中での「ネットワーク」の重要性が繰り返し指摘され、「IT×災害ボランティア元年」という情報社会の中での災害ボランティア活動がこの数年の動きであると思います。

行政機関との連携を含めて、各組織、団体がITスキルやツールを活用して「協働」する重要性が共通認識になったのだと思います。同時に、そこに共有すべき「ルール」や「言語」「行動指針」や「組織化」の「標準化」が求められ、それを私たちは災害マネジメントのICS(インシデント・コマンド・システム)だとしているところです。

その普及と実践のために、私たちはこの5年間、埼玉県杉戸町に結集して実際に協働する図上訓練を実施してきたのです。繰り返しになりますが、私たちのこの「大規模災害対応協働型訓練」の目的が、多種多様な災害対応組織の「ネットワーク」づくりと、そのマネジメントのICSの学習と普及だということをまずはご理解ください。

ICSに関しては、今回の2日目にかなり詳しく学習、訓練が予定されてますが、第4回目の報告・記録にも取り上げています。そこでも述べていますが、「アメリカでは災害や事故の規模に応じてIncident, Emergency, Disaster, Crisisの4段階に分けていますが、災害のマネジメントでなぜ「Incident Command System」なのかというと、一番小さな災害事故やイベント運用のシステムを学習することでどんな種類の大規模災害まで対応できるという考え方があるといわれています。」
想定される「首都圏直下型大規模災害」は、まさに一番大きなDisaster,やCrisisですが、それをこの小さな規模の「協働型訓練」というイベントを実際に動かすことで体験的にICSのシステムを学習・運用することに意味があります。どうぞ、参加者の皆様もこのイベントを同じ原理・システムで「協働」して成功を目標に学びあえればと念じています。

 

なぜ、杉戸町か?

私たちの想定する災害は「広域で大規模」な「首都圏直下型大震災」であるということは、想定される被害は東京23区は元より都下、神奈川、千葉、埼玉や茨城など近県にまで及ぶ被災地域が考えられます。それでも自力復旧可能な周辺地域から、直下の23区内や津波により壊滅的な大規模の被害が想像できる地域もあり得ます。
少なくとも震度7以上の東京直下型地震の場合は、政府の機能や官庁街、ビジネス街も大きな被害から素早い対応が遅れるとともに、3日間の東京都内への救援、公助機関以外の出入りは制限され、閉じ込められた東京都内の被災者は自力救済(まさに「自助」「共助」)しかない時期が出るでしょう。
意外と知られていませんが、私が体験した豊島区と東京都の訓練では、近隣の体育館などの避難所は住民のもので豊島区民以外の旅行者、通勤・通学の人々は入れません。それゆえに前回のような緊急車両の交通を阻害する「帰宅難民」をあふれ出さないように、事前協定された大学や駅構内、近隣の商業ビルや民間企業の建物に一時疎開、避難所開設して、順次周辺地域への避難誘導がシュミレートされていました。しかし、現実にはあふれ出た帰宅困難者を全て吸収できる外部用避難所はまだ確保されてはいないところで、どんな状況になるかは想像できません。

つまり、中央防災会議などが想定する被害で国道16号線以内の住民は自分たち自身が被災者で、「自助力」と「共助力」の向上が喫緊の課題です。消防、救急車、都内の自衛隊の人数は、想定される1千万人以上の大都会には少な過ぎるからです。
同時に、被災を免れた地域や東北地方から集結する救助隊や物資は、16号線から外側のどこかに集結、集積して前線基地を作らなければなりません。恐らく国は常磐道方面は守谷、東北道は久喜辺りを想定しているでしょう。災害対策本部は立川に移転、設置されると思います。そこで、久喜市に隣接する倉庫の多い杉戸町はそうした条件に当てはまる候補地と私たちは考えました。そして、「協働型大規模災害訓練」を杉戸町で実施することにしました。

さらに、元々杉戸町が富岡町との友好都市関係から東日本大震災で原発事故避難の福島県富岡町、川内村とその支援を行い、先進的な活動を行っていたこともあり、国土交通省の「広域的公助モデル推進事業」に採択されたことを契機に、杉戸町・富岡町・川内村地域間共助推進協議会が設立され、その母体が事務局となってこの「協働型広域大規模災害訓練」というスキームが杉戸町で実施されることになりました。(この辺の詳しいことは、事務局長の豊島氏が内閣府国土強靭化推進室のインタビューに答えてうまくまとめていますので、そちらをご参ください。)

それでも当初参加した杉戸町の職員や自主防災組織の住民たちは、全国から参集したNPOや災害ボランティアとの「協働」の意味がよくわからず、例えばDIGにしても杉戸町の地図を広げてのハザードマップで、「杉戸は比較的災害に強い」という認識、HUGにしてもこんなに多い外部ボランティアとどう向き合うのかといった戸惑いすらありました。
それが第4回目になると、杉戸の被災状況という視点でなく、行政職員がもっと広範囲の災害対応の重要性や地域間連携の意味を理解し、杉戸町が東北からの支援部隊を受け入れる中間支援衛星都市としての「後方支援自治体」という認識を示すようになり、その発表はかなり感動的なものでした。訓練が自治体職員の意識を大きく変えてきたという実績です。
その意味でこの継続的な訓練は、いまでは首都圏での大規模災害に対して周辺自治体が「後方支援自治体ネットワーク」という前線基地の役割を担うことが共通理解になり始めています。これは大きな進歩です。まさに杉戸町でのモデルは、「広域的共助・公助モデル」として国の示してきた以上の効果を生んでいると評価できるでしょう。

後方支援自治体とのネットワーク強化

それでも私たちのような16号線以南の住民・市民は想定される大規模災害に直面することを想像すると全く異なる対応を検討すべきかもしれませんが、今回はそれをとりあえず置いておいて、全国、特に関東、上越、東北地方から救援に来る災害ボランティア団体とのネットワーク、自衛隊をはじめとする救援組織「公助」との連携を模索することが中心となります。その受け皿作りを「後方支援自治体」ということで埼玉県杉戸町をモデルにしています。そのための広域でのネットワークづくりを、行政としての埼玉県庁にもお願いしてきましたし、今後率先して県内の衛星市町村のネットワーク化推進の協力をお願いしたいと思います。

よく言われるように最近の首都圏の「県」の役割は、政令指定都市が増えて、例えば神奈川県庁の職員が、横浜、川崎、相模原と中心部に大きな政令指定都市があることから自虐的に「県庁は周辺部の足柄郡庁に過ぎない」と揶揄するような状況があります。地方分権が強まり、さいたま市(120万人以上)のような政令指定都市では裁量権などに大きな違いがあるのかもしれません。
私の経験からも東日本大震災時の県庁やさいたま市の災害対応部局はかなりスムーズでしたが、途中で高速道路の通行許可がわざわざ県庁まで来なくても各市町村でも発行が可能になったと聞き、出動する近くから出られるようになったとのことで市役所に行き交渉で課長は出せると言っておきながら、予約当日窓口に行くと「課長は出張中で聞いていない。少なくとも公印を押すには5日は必要だ。」と言われ、結局、県庁へ回っての出発となったことがありました。それまでにも様々な現場でのたらい回しは災害時の常ではありましたが、こうした情報の行き違いにどれだけ災害ボランティアは泣かされてきたでしょうか。

あるいは、支援物資を市町村単位で集め、その仕分け用にとボランティアを集いながら、被災地から個別での物資は送らないでくれと断られたり、せっかく集めたボランティアは個人情報保護の名目でリストすら提供されず、まったく活用せずに胡散霧消したなどの例は多数耳にしました。周辺市町村では何をしていいのかわかっていないことも多いのです。社協にしてもボランティアの活用法や受付の効率化の進歩がないままに、紋切り型の災害ボランティア・センター(災害VC)立ち上げ訓練を実施しています。明らかに固定した平時・災害時を通したマネジメントや災害対応リーダーが不足しています。

そこでこの「協働型大規模災害訓練」は、こうした訓練に至るためのネットワークを強化すべき段階に入っていると考えられないでしょうか。それはこの杉戸町をモデルに後方支援自治体の連携を作ること。各NPOや災害ボランティア団体をさらにネットワーク化すること。そして、共にICS学習や普及を通じて、各組織やネットワークの情報化を推進してきことです。市町村や県の防災組織の強化が常に町会などの住民の自主防災組織を念頭に行われているのが現状ですが、この訓練を通じて大規模災害には全国規模での災害ボランティアとの連携や内部ボランティアの養成が欠かせないことを啓発できればと思います。

今回の第5回目の訓練は、前半が以前より取り上げてきた「福祉避難所」を中心とした問題に(これについては第4回の報告でも少し触れましたが、参考に要援護者トリアージの映像をご紹介しておきます。またいつか別項で取り上げたいと思います。)また、顔の見える関係作りから「防災まつり」の要素が大きく、そして、後半2日目はICSの実践的訓練に重きが置かれていますが、今後はこの訓練にできるだけ周辺自治体を参加させることでの「後方支援自治体」のネットワークづくりとNPO、災害ボランティアの連携を広める枠組みを考えていくことに方向性をもたせることができればと希望しています。
ここから先は、久喜市、熊谷市、本庄市、行田市など周辺地域と埼玉県庁などとの「協働」にかかってくるのではないでしょうか。そこが本来の「市民キャビネット」活動の政策提言などに結び付くことも必要なのかも知れません。

ICSは現場での「緊急時総合調整システム」と訳されています。それは様々な機関との調整、連絡やコーディネート機能の役割を持つマネジメントのことでもあります。当然、各NPOや災害ボランティア団体との調整機能を学ぶ2日間ではありますが、5回目になるこの訓練が、埼玉県あるいは皆さんの活動する地域での行政とのコーディネーターとなるきっかけになれば、「後方支援自治体」連携構想の実現はさらに進歩するでしょう。それこそが杉戸町から発信するこの訓練の最大の成果になると思います。また、その役割こそ今時点での災害ボランティア・リーダーの役割ではないでしょうか。(終)

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埼玉県災害ボランティア登録のその後

前回、埼玉県の災害ボランティア登録制度の歴史と変更について少し批判気味に報告させていただいたが、結果的には個人登録を廃止して、各団体と県との意見交換の懇話会のようなものへと落ち着き、県との協働での「図上訓練」を実施することになったようだ。
そのワーキング・グループもできて、メール連絡やfacebookでの連絡網もでき始めている。このワーキンググループは以下のような呼びかけを行っているので、過去、杉戸町での「協働型災害対応訓練」が全県レベルで広がりを持ち始めていると前向きにとらえて、多くの埼玉県内の災害ボランティアがネットワークできることを期待したい。(以下、それらの情報からの転載です)

彩の国会議.図上訓練に向けたワーキンググループ

平成30年1月11日に実施する埼玉県災害ボランティアによる救援活動のための図上訓練を検討するワーキンググループです。県内の災害ボランティアにかかわる方ならどなたでも参加ください。

https://www.facebook.com/groups/147374992532580/

【第1回災害ボランティアによる救援活動のための図上訓練検討会の開催について】

平成29年8月開催の「災害ボランティア団体の対話の場・彩の国会議」で議題となった災害ボランティアによる救援活動のための図上訓練について検討を進めたいと考えています。
つきましては、標記検討会を下記のとおり開催しますので、ぜひ御参加くだください。
1 日  時 平成29年10月18日(水)18:30~20:30
2 会  場 埼玉県危機管理センター2F本部会議室…
( 埼玉県さいたま市浦和区高砂3-15-1)
3 参加対象 災害時、被災者支援に関係する団体・機関の代表者
4 出欠について
本日メールで送りました別紙出席連絡票を10月11日(水)までに御提出ください。

埼玉県が行う図上訓練の概要は下記の通りです。

第9回九都県市合同防災訓練・図上訓練について

1 目的
九都県市相互の連携及び防災関係機関等との連携について検証し、九都県市におけう防災対応能力の向上に資することを目的とする。…
2 訓練の方法
(1)訓練の形式
状況付与形式のロールプレイング方式
(2)フェーズの設定
発災から18時間後から23時間を想定して実施する。
3 実施日
平成30年1月11日(木)
4 実施場所
各都県市における災害対策本部設置場所 (埼玉県は危機管理防災センター本部会議室)
5 訓練参加機関
(1)埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市
(2)警察、消防、ライフライン機関、その他防災関係機関
(3)関西広域連合、国
6 被害想定
(1)地震のタイプ
首都直下地震
(2)震源
東京湾北部
(3)規模等
M.7.3

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埼玉県の災害ボランティア制度

4月22日に埼玉県危機管理防災センターで「埼玉県災害ボランティアネットワーク説明会」なるものが開催された。

これは埼玉県災害ボランティア登録制度が、阪神大震災を契機に作られて22年目になり、当時の設立趣旨と現在の状況が乖離し、現状に合わせた見直しが必要とのことで、内閣府(防災担当)や消防庁主催の「平成28年度災害ボランティア等の活動環境整備に関する研修会」などの影響を受けての国の「新たな共助の担い手ネットワーク事業」といった先進的施策を考慮しての制度改革という。

つまり、個人的な災害ボランティアのネットワークは県社協、あるいは各市町村で個人災害ボランティア登録が既に行われていて、各社協の災害ボランティアセンター(VC)設置訓練なども行われているので、むしろ、県としては様々な災害ボランティア団体、NPO、NGOのネットワークを支援する方向で新しい制度を目指して、従来の登録制度を廃止したいという。

国の流れからの今回の動きが検討され、既に基本的に市町村がやっていることと県が屋上屋を重ねるようなレベルではやらなくてもいい、県単位でできることを模索するということのようだ。
それでいて会場では、県単位で何ができるか、何を準備しなければならないかの基本コンセプトが何かの説明が不足しているといった感想が、実際、今回のグループ討論でも熊本支援から帰ってきた方が、「市はあれだけ頑張っているのに県は何もしなかった」という意見として挙げていた。
地震が少なく危機感のない埼玉県にあっても、熊本の例では、「日本のどこで震災が起こっても不思議ではない。常に備えよ」という教訓を与えていると同時に、その熊本での体験報告でも「何も教訓が活かされていない」という訴えがあった。

そもそも阪神大震災時に作られた制度が20年経っての見直しという流れは理解できるが、県としては何を考え、今は何を考えようとしているのか立ち位置の説明がもっと必要だろう。
個人は基礎自治体に任せて、団体をネットワークして社協に丸投げのように聞き取れるのもあまり感心しない。実際、今回も社協に半分は丸投げに近い実務を任せるという。だが、何回かの県社協との交渉での実感では、そもそも社協は福祉関係の日常業務で、災害対応のプロはいないと断言できる。もちろん、県の担当者も2名では多分同じことだろうと理解はできる。だからこそ「協働型」の仕組み作りが大切な訳だ。 続きを読む

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4回目の協働型災害訓練報告

2月3日・4日、埼玉県杉戸町の「ふれあいセンターエコスポいずみ」を会場に行政・大学・医療従事者・各関係NPO、災害ボランティアが結集して「第4回協働型災害訓練」が開催された。ボランティア活動の鉄則で「鉄は熱いうちに打て」ということで熱の冷めやらぬ前に、報告と振り返りをしておこう。
その前に、さすがニュースが早い、災害情報誌としては一番といえる 「リスク対策.com」が流してくれているのでそこへのリンクもしておこう。

まず参加者数は、東日本大震災から6年になろうという時期もあり、今までで一番参加者数は少なかったが、1日目に120名、2日に60名ほどの参加者があった。(スタッフ、報道など含まず)
細かな報告は長くなるので、式次第や議員さんの挨拶、アイスブレイクなどのイベントの紹介などは時間の都合で割愛させていただき、ここでは全体の振り返りと、訓練の中身ということで、1日目のISCを使ったDIG(図上訓練)と2日目のHUG(避難所運営訓練)を中心にさせていただく。
私が常々思う災害ボランティアにとって肝要な3点は「知識と体験(経験)と想像力」であるが、それをどう結び付け、活かしていけるかの学びがより明確にされた2日間だった。
まず4回目になるといろいろと見えてくるものがあり、今回は規模に関わらずに非常に勉強になって収穫の多い訓練だったこと。スタッフはじめ関係者の労をねぎらいたい。その中でも今回はTVカメラやマスコミの数も多く、国や県、防災関係の議員さん、行政職員の参加が目立ったのではないだろうか。それだけ情報が行き渡り、また関心の高さがわかった。
しかし、その分、以前参加の常連の顔が少なく、積み重ねて学んでいるというより初参加者への啓発や課題の提示という性格の部分が相変わらず重要であるイベントに変わりがないことはあまり進歩していないのかもしれない。 続きを読む

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首都圏直下型震災のシナリオ

今度の「協働型災害訓練」では、第1フェーズで震災直後から10日間、第2フェーズとして次の10日間を想定して、埼玉県杉戸町を拠点に、行政やNPOがどう対応できるかのシュミレーション、図上訓練をワークショップで行うことになっている。その時間的経緯の訓練の合間に、各市町村の首長さんや議員さんの挨拶や、熊本派遣のボランティアの報告、シンポジウムなどいくつかのイベントもあり、実際にどれくらいの臨場感を持っての図上訓練や、ICSに基づかれた部局や組織が対応できるかはわからないところだが、少なくとも直下型災害の時間軸でのシュミレーションを共有することが大事になってくる。

それをICS201といったINCIDENT BRIEFIGの様式に記載できるか、本部機能や計画情報部などの中枢が強化され、情報がどう伝達されるかなども検討なければならないだろう。各組織や班単位でのメンバーにもイメージや情報共有が大事になる。そのいい資料を東大の提供するアプリがある。

左のアプリをクリックして、いわゆる72時間の東京の状況を把握しておくことは事前学習の必須条件かもしれない。こんないいアプリがあるのをつい先ほど見つけたので、とりあえず報告しておこう。各班メンバーや参加メンバーの共有情報にと紹介しておく。 続きを読む

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第4回協働型災害訓練

4th 今年もNPOや行政との連携した災害対応訓練が開催されます。22年目になる1月17日の阪神・淡路大震災の日は、静かに終わりました。また、3.11も近づいてきます。「災害は忘れた頃にやってくる」といわれながら、忘却の方が早いのかもしれません。そうした中で、この「協働型災害訓練」が国や行政の助成金もなく、自主事業として継続してきたことには改めて敬意を表したいと思います。同時に、課題もそろそろ解決する努力が迫ってもいるのではないでしょうか。今度の首都圏直下型地震は、想像を絶する被害が想定できます。身を引き締めて「常に備えよ!」と肝に銘じたいと思います。

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SL埼玉県ネット正式発足

sl83068月30日、台風情報が飛び交う中、公益社団法人SL災害ボランティアネットワークの首都圏での神奈川県、千葉県についで3番目の県ネットがようやく臨時総会ということで規約が承認されて正式に発足した。どうも中枢のお歴々が全体的な法人組織として戦略的な活動を主眼としていない団体か、伝統的に上部団体そのものもどう現代にマッチした災害ボランティア像を確立できるかを模索している結果なのか、一番肝心な「東京ネット」も自然発生的に待ちの姿勢でいつできるかの見通しもないのが現実のようだ。 続きを読む

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