埼玉県でのネットワーク

来月の3月SL11日は、東日本大震災から5周年に当たる。この5年間災害ボランティアの活動が大きかった。元々市民活動やNPO法人の役員、まちづくりとボランティア活動に大きくかかわってきたこともあり、大震災が及ぼした影響としては当然だったかもしれない。

とはいいつつ、こうした救援、支援活動はアドホックなもので用が済めば元の活動に戻るのが原則であったともいえる。実際、戸田市NPO協働センターという東日本大震災支援のネットワークはその年に一定の成果をまとめる形で市民100名ほどを集めた報告会のあと解散した。集まったNPO法人や市民活動団体は平時に戻るものもあり、私のところのいくつかはワゴン車を2台寄贈したりで体力がなくなり、メンバーの高齢化や死もあって閉鎖したところと代替わりする法人も出ている。

それでも市民キャビネット災害支援部会として、この間に感じた疑問やこれからへの課題をこのままにできずに5年も引き続き活動が続いてきてしまった。それはこの間の経験や問題点、教訓をこのままにしていいのかという思いであり、政策の提言や現実化できないかというモチベーションにもなってきたのだろう。

そこで出会ったのが在日米軍消防本部の日本人のトップでもあった、CFR(コミュニティ・ファースト・レスポンダー)を広めようとしていた熊丸氏であり、日本版での「市民救助隊」セミナーであったそこで米国のFEMAやCERTの活動を知り、ICSを学ぶことになったことが継続できたきっかけでもある。それはあの災害の現実から学んだ大いなる教訓の「抽象化」であり、次に来るだろう「首都圏直下型」や「南海トラフ」という巨大災害への想像力である。

次に、日本で阪神大震災を契機に地道に自分たちが生き残り、「公助」を向かい入れるセーフティ・リーダー(SL)を全国に養成しようと活動を続けている組織だった。それは元官房長官であった石原信雄氏を代表にする「災害救援ボランティア推進委員会」という。大学の防災や総務省関係の連携で過去に各大学を会場に講習会を実施、既に8千余名の受講生を世に送り出している。さらに上級講座でスキルアップの人たちが公益社団法人SL災害ボランティアネットワークという組織を作って、神奈川県、千葉県と県レベルのネットワークも構築している組織である。

この講座で私自身災害ボランティアとしてのブラッシュアップができたし、会場で博士課程で学ぶ女性や若い大学の後輩たち、私より活動実績を積んで現地に通っているボランティアたちにも出会えていい経験になった。ただ、残念なことにICT活用とネットワークの組織化に弱く、「いい講座でした」で別れた仲間とは、行政や社協開催に多かったように個人情報保護の名目で事務局などからの情報共有もないまま音信不通になってしまった。

これは埼玉県の災害ボランティア登録者が150名もいても連絡網が何年経ってもできない現状と同じで、多くの行政や社協が募集したボランティアも横の連絡が取れないまま、活用されない例も歯がゆい思いをしてきたところである。相変わらず顔の見える範囲でとか、地域での「常連さん」ネットワークで時間がかかり、「一見さん」が入りにくいコミュニティでのやり方には進歩がない。市民キャビネットで災害支援部会の大きな味方になっているスマートICT部会が発足したときのようなIT活用を武器にできない欠点でもあるだろう。これでは日本版ICS普及には何十年かかるか予想もつかない。

20年前の阪神が「ボランティア元年」だとすれば、東日本は「災害×ITボランティア元年」だと5年前から言い続けてきたが、既存の組織はどうもまだまだなじまないようだ。今回、最後の御奉公だと思って、埼玉県でこのSLネットワークを立ち上げる準備会に関わっている。同時に、この機会に再度、どう各団体や行政との「協働型」災害対応ができるかの検証になるだろう。まずは5年目に向けて、活動を開始したい。先日、初顔合わせがあり準備会ができた。今度は4月24日に武蔵浦和で正式に埼玉県ネットが発足する予定だ。

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