熊本・大分地震(続報)

今日は東日本大震災から5年と2か月目の月命日に当たる。まだまだ予断を許さない今回の震災だが、1か月になる段階で災害ボランティアとしての部会を中心にその対応情報を報告しておこう。東日本の教訓が全く生かされていないとして、この5年間何をしてきたのかという反省と共に、今回の国の対応の酷さもいつか問題提起する必要はあるだろう。ともかく、今回は我々の団体や仲間の初動を中心に、メールでのやり取りを紹介し、ご報告する。

まず、震災のニュースが流れた段階で、東日本大震災でも活躍したおよそ3千(現在はもう少し減っているとは思うが)の関連団体やNPOをネットワークするメーリングリスト(ML)が災害支援モードに切り替わり、その情報が飛び交うことになる。第一報は以下の緊急連絡でした。

「本メーリングリストは只今より災害モードとします。人命救助優先です。
<認定特定非営利活動法人日本レスキュー協会・九州救助犬協会あて>
新たな不明者が発生した場合に備えて、全日本救助犬団体協議会特定非営利活動法人日本捜索救助犬協会は出動待機中です。市民キャビネット災害支援部会市民救助隊は出動の場合同行します。(運転、広報)応援必要性について連絡下さい。道路状況が悪いようですが、通行可能ですか?九州救助犬協会他県メンバーは合流できていますか?益城町にヘリが着陸できますか?
市民キャビネットスマートICT部会がFacebookを立ち上げ情報共有しています。https://www.facebook.com/groups/880688795409687/ 」

一方でfacebookなどのSNSを中心に、東北の災害ボランティアからの体験を踏まえた避難所運営の情報や次のようなアドバイスも見られた。
「熊本で、16日1:25マグニチュード7,3震度6強の地震が発生!大変な被害が出ております。
大きな地震の余震も続いておリます!
今回の震災は、いつもの物と違う気がします、ボランティア活動に、行きたいと思う方は、被害状況が落ち着くまで、活動は控えましょう!
自衛隊員の方々や、消防、警察の専門職の方々の活動の邪魔にならないよう努めましょう!
この災害の復興は、大変時間がかかりそうです。ボランティア活動は、後方支援をして頂きたいと思います。
募金活動や、被災した方々への衣類を集める事、現場に行かなくてもできる事が沢山あります。」

確かに、今回は九州と遠く、どちらかというと地震規模は大きかったが、局地的な被害で近隣の公助(消防、警察、自衛隊など)の初動が早く、東日本同様、個人的なボランティアは状況把握に努めて、組織化された自己完結型の災害対応団体以外は自粛していることで現場での混乱は少なかった。私たちのネットワークの強さは現地の情報をいち早く収集すること。そのためにICTが活用されるとともに、現地での受け入れ態勢の確保が優先され、現地での公助の邪魔にならなような連携が取れる活動であるだろう。

首都圏をはじめ東北地方でも各団体が独自に作戦を立て、まずは人命救助の全国の救助犬団体に出動や待機の連絡が回り、支援物資の準備、道路など派遣状況の確認、募金部隊の編成や各団体への協力依頼などが行われる。

MLでは「【4/14 熊本県地震】 住民ディレクター、一般社団法人 八百万人理事長の岸本晃氏も避難所に入られているとの報告」。スマホから「村上タカシ@MMIX Labです。熊本八代の実家の近くで地震火災があり1人亡くなくなりました。阿蘇山周辺も大変な状況のようです。熊本八代から福岡や鹿児島へ高速道yusou路や新幹線なども使えず、避難は出来ないそうです。」「熊本学園の花田さんと連絡がとれ、なんとか今日中に熊本に入る予定。 今晩の宿舎は花田さんが管理している小規模作業所。(13:40)」「お疲れ様です。現地入りしているDMATの方からの今朝の状況を共有いたします。」「益城町は大規模捜索するそうだが、南阿蘇村は不明 」「日本レスキュー協会 岡(発信)現在、南阿蘇に移動中。多くの道が寸断されている模様」
「熊本地震発災から、即座に、熊本県警と協働して、九州救助犬協会(熊本)・日本レスキュー協会(兵庫)は災害救助犬での捜索活動を開始しました。」「日本レスキュー協会あて→明日で72時間になりますが、土砂災害対応等災害救助犬の疲労度はどうですか?松本さんが合流したようですが陸路確保できていますか?県警先導?埼玉救助犬の江口さんが連絡取れないといってます」といった、
救助犬団体を中心の生々しい情報が流れる中、こちらでは現地の受け入れられる前線基地の確保が進められ、同時に支援物資の集積とシステム情報が流れる。

「宇土市のNPO青年協議会の方が窓口になり、物資の情報提供や受け入れをしてくださるということで、協力団体に提供できる物資の登録をお願いする方向で調整中です。」「後援隊(ジャパンタスクフォース)の通ったルートをお伝えします。」
「拠点候補1:九州ヘルメット(福岡県:ルートあり):ちょっと遠いか(連絡中)
拠点候補2:EPO九州(〒860-0806 熊本市中央区花畑町4-18 熊本市国際交流会館2階):ビル2階はどうか、熊本市内陸路?(池本さん確認ください)
配送:宇土市青年協議会
物資:アトピッコ(赤城さん物資用意できていますか?)、要請物資であるもの(埼玉労福協)
車両:ハイエース・運転手:市民航空災害支援センター(調整中)
ルート確認:後藤先生お願いします。日本レスキュー協会補給隊のルート確認」
「宇土市とはどんな調整にはいっているのでしょうか?」
「益城町などすでに入っている熊本の現地NPOKAプロジェクト田中さんが物資受け入れは可能だそうです。車の手配は検討中です。運搬は難しいですか?物資は福岡のどこでしょうか?植木まで高速、それから3号線で入れそうですが大渋滞だそうです。」「電話ください。熊本から個人の車での配送unnamedはできそうです。」

そして、ようやく物資も集積できる前線基地を確保。「市民キャビネット災害支援部会は一般社団法人MMIX Lab(ミミックスラボ)と協働して前進基地を設置しました。場所:八代市鏡町鏡・アクセス:高速植木ICから国道3号は通れます。スペース:約30畳、寝具はありません。物資一時保管、宿泊に利用できます。」「MMIX熊本ベースキャンプ(八代市鏡町)ですが、東京時代活動を共にしていた松岡徹が対応します。信頼できる奴です。物資も置けます。10人ぐらいは泊まれます!寝具や食料持参でお願いします。事前連絡もお願いします。利用希望の方は、下記へ連絡ください。」

支援物資の情報が流れ始める。「義援物資:アルファ米、飲用水、ジュース、ラーメンが市民キャビネット災害支援部会にあります。
上記は行政も用意していると思いますが、避難所への配送ができていないのではないか?
避難所へのルート情報が少なく判断できない状況です。」「第2便は早稲田の当方事務所に月曜日午前中に荷物が揃うことになっています。車、搬送方法、いくつか検討中ですが確定に至らず」
「第3便荷物が揃う予定ですが、日時未確定・水曜頃?車搬送方法未確定」
「物資の内容が分かれば、私の方でシステムに登録します。(「何」が「いくつ」入った箱が「何セット」ある。「賞味期限」はいつまでだ、という情報です)」

そして、これらの活動を支えるのは一般市民からの募金であり、いわゆる全額を日赤や中央募金会に渡しての再配布の「義捐金」でなく、NPOが直接、理解してもらってすぐに使えるようにという「支援金」という形での寄付をお願いすることになる。

今度は19日に大型のステージカー「つばさ号」(これは国境なき音楽団の歌手、庄野真代さん提供のトラックです)に物資を満載しての本格的第1陣の輸送が始まった。既に第2陣、3陣と出ているが、今回も多分長期にわたる支援体制が求められる。

この初動体制から避難場運営の復旧、次に生活再建へ向けての復興支援までのシームレスな連携をどうステップアップしてNPOsaiいけるか、東日本大震災から5年を経ても同じような無駄や無理も繰り返されている気もする。こちらも年齢的に実際には行動力が低下していく中で、政策提言として実現すべき課題は見えているのだが。

最後に、最前線で活躍した救助犬団体の報告を兼ねて以下の文を掲載して報告を終わりにしよう。

全日本救助犬団体協議会 松尾様

今回の熊本大震災において、団体協議会の皆様には大変お世話になりました。日本レスキュー様を始め応援部隊としていち早く駆けつけて頂き感謝申し上げます。又日本捜索犬の江口様にも情報とご心配有り難うございます。

14日の発生以来、県の要請、県警の要請などフルに活動を行いました。15日~18日4日間に延べ28頭、指導士25名が被災地(益城町、南阿蘇)に入りました。倒壊家屋の安否確認及び土砂災害等余震が続く中懸命の捜索活動が行われました。本日まで、44名の方がお亡くなりになりました。まだ、8名の方が、不明となっています。

昨夜の対策本部調整会議の中で、救助犬の捜索活動の終了を確認致しました。今回の災害においての、他団体との情報の共有や連携などの課題も見えてきました。九州救助犬協会も平成21年に県との災害出動協定を結んでいます。今回も対策本部に入り、調整役として、大分県指導士の坂本指導士を4日間付けました。毎日の捜索終了時の報告会議、今後の捜索調整会議により、必要頭数の確認、振り分け等随時各機関消防、県警、自衛隊との連携がとれ、窓口の一本化が出来たと思います。また、他の救助犬団体の行動により諸注意を受けたことも事実です。現場においては、地元救助犬協会の指揮下に入り活動することが捜索活動の基本だと考えます。しかし、駆けつけて頂いた全ての応援部隊の皆様には感謝と御礼を申し上げます。ご苦労様でした。

NPO法人九州救助犬協会 事務局統括 東勝己

写真は、ふうどばんく東北AGAIN、共生地域創造財団、フードバンク岩手協働で緊急支援物資を<MMsendaiIX熊本ベースキャンプ>に運びます。3.11の際のNPO連携がなつかしい!(村上)
支援物資依頼など八代市との連携事業です。(写真提供:ふうどばんく東北AGAIN高橋さん)

支援金の募金をしています。

(送金先) 埼玉りそな銀行 日進支店 普通預金口座 4083595
トクヒ)サイガイシエンダンタイネットワーク

 

 

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