8月30日、台風情報が飛び交う中、公益社団法人SL災害ボランティアネットワークの首都圏での神奈川県、千葉県についで3番目の県ネットがようやく臨時総会ということで規約が承認されて正式に発足した。どうも中枢のお歴々が全体的な法人組織として戦略的な活動を主眼としていない団体か、伝統的に上部団体そのものもどう現代にマッチした災害ボランティア像を確立できるかを模索している結果なのか、一番肝心な「東京ネット」も自然発生的に待ちの姿勢でいつできるかの見通しもないのが現実のようだ。
「災害ボランティアのネットワーク」については、私のこの5年半の体験、経験から来る首都圏直下型、南海トラフのような巨大災害でなくとも、現在進行形での北海道や岩手県での被害状況を見ても東日本大震災での教訓が十分に活かされているとは言い難いというのが本音である。
私の問題意識は、自衛隊、消防、警察など公助と呼ばれる関係省庁や実行部隊との連携や各自治体、行政機関との連携での「市民パワー」との協働の効果をもたらす、アメリカのFEMA(緊急危機管理庁)のような統一化された組織に基づかれた、またICS(災害対応マネジメント)を共有知識とするCERT(米国の市民災害対応組織)のような災害ボランティア像を日本に導入できないかということにある訳だが、時間がたてばたつほど遠のいていく感じで力が抜ける。
基本的に広域災害であっても被災地の基礎自治体をベースとしての人材難、訓練不足での避難遅れや被害が出ていながら、全体的なニュースにもならない。北海道や岩手の実例を見ているとどうも自力更生か、見捨てられる地方、過疎地域といった感じに思える。
5年前はたまたま当時の政権関係者からの情報共有や埼玉県浦和大久保合同庁舎が使用できる状況。基金訓練のコーディネータ研修を災害対応にできる機会などに恵まれていた。戸田市でもいち早く「市民災害支援対策本部」や「戸田市NPO協働センター」がアドホックに立ちあげられたが、被災地では「組織化された災害ボランティアを」という声が上がりながら押し寄せるコントロール不能の状態で受け入れざるを得なかったのが実態だろう。それらの経験や反省からこの間、にわかなNPOでない訓練された組織化やネットワーク強化が模索されてきたが、ボランティアの高齢化や若者世代の流動化は現実的にはほとんど変化なく、当時の課題を残したまま次の災害を向かい入れるしかないのが現状かもしれない。人も金も、情報も不足している状況は相変わらず改善されていない。社協なども専門的なセクションや人材なしに今日にきている。
こうした状況の中で、人的資源の供給できる団体としての公益社団法人SL災害ボランティアネットワークの期待があるところではあったが、残念ながら今の状況ではそうした人材養成の機関となるのは難しいのかもしれない。
むしろ、現状では緊急時の災害対応や復旧期でのボランティア派遣でもなく、各地域での事前訓練や子供たちの将来的な学習、教育支援的な「防災学習」に特化する。あるいは各地域での自主防災組織支援に特化する活動なのかもしれない。それでもこうした団体を育成し、市民の自発的な組織力を向上するのも大切な使命となるだろう。まずは発足。次のステージを期待しよう。